Our interview with Ace Combat Brand Director Kazutoki Kono at PAX South 2019 was originally scheduled for Tokyo Game Show in 2018, but under went a rescheduling due to unforeseen circumstances.
The questions presented in this interview were gathered from various members and staff from Project: Lighthouse during the lead up to the convention, along with questions that were created onsite at PAX South. We give our special thanks to Bandai-Namco US community specialist Dmitryi Khlynin for assisting with the rescheduling of this interview. This interview is available in English and 日本語 thanks to TaskForce23 who also assisted Ace Combat Fan in his interview with Kazutoki Kono.
エースコンバット7: スカイズ・アンノウンの発売おめでとうございます。ゲーム発売の週末に来てくれて驚きました。テキサス州のサンアントニオに来て、ファンに直接会ってくれてありがとうございました。
PAX Southをどう思いましたか?こんなにたくさんフライトスーツを着ているファンがいるのにびっくりしましたか?
とても驚きましたよ。(笑)日本ではなかなか見られない光景です。ACE COMBATのファンであることを全身で表現していて、すごく嬉しかったです。
エースコンバット7が生でPAX会場にプレーされていたことの感想は?
今回は、マルチプレイとVRを出展しました。マルチプレイは「どういう遊ばれ方をしているのだろう?」と気にかけて何度もブースで見守っていました。デイリーランキングの1位が毎日、コミュニティのメンバーだったので笑いました。
PAX会場で行われたようなイベントは日本にもありましたか?
日本のイベント開催数はそれほど多くありません。対照的にPAXは北米で数か所にわたって年間を通して行われるイベントで、また「本当のゲームファン」が集まり、コミュニティやファンが中心になっている力強いイベントでした。日本と北米のイベントの在り方の違い、目指すべきお手本としてとても興味深かったです。
7に登場するスペア部隊は懲罰部隊で、エースコンバットシリーズの中でもとても一意的な存在となっています。「罪線」を使って、犯した罪の重さを示すコンセプトは目立ちました。どうしてこのような部隊を使うことにしたのですか?
エースコンバットのシナリオを考えて行く際に、プレイヤーが「なんという呼称で敵と味方に知られるか?」というのが1つの大切な要素です。今回の場合、デザイン的なシンボルとして、「尾翼に爪痕」があるのはどうだろう?と考えました。それが、「斜線の取り消し線」となり、「罪線」という設定に進む中で、同時にシナリオもこれまでとは違った境遇にプレイヤーを置いてみたい。というコンセプトが生まれ、双方が一致する形で誕生しました。
絵画:「スカイズ・アンノウン」について。ご存知でしょうが、人は絵を見て色々なメッセージや意味を見つけますが、河野さんはこれを見てどんなことが頭に浮かびますか?
僕は、「このような絵にしてください」という指示をした身ですので、込められた意味を全て知ってしまっています。(笑)ただ、民族、国家を超えて理想郷ともいえる世界を目指すということの尊さ、またそれは『絵』では実現できるが、現実ではなかなか実現できないということを考えます。
7のメインストーリーとは関係ないですが、エースコンバット04とエースコンバット5のアーケードモードの英雄、メビウス1がPlaystation VRのミッションにまた登場します。Project Acesの皆さんはこの象徴的な主人公の再導入にどう感じました?
最初は、わざわざ本当に「十数年前の主人公を再び借り出す必要があるのか?」と疑問はありました。「ファンの方々の夢を壊してしまうのではないか?」という恐怖もありました。最終的にスタッフの熱意の強さに「任せてみよう」と決断しました。結果として、ファンの方々も喜んでくださったので素晴らしいと感じています。
メビウス1と一緒に飛んでいる仲間たちは彼の過去の成果に自信がなさそうですね。 「故老」はすきではないと言うやつもいました。元英雄になんという言葉遣い!どうしてメビウス1への態度が変わったのでしょうか?
ACE COMBAT 7のテーマの1つに「旧時代から新時代への狭間」があります。メビウス1もその波には抗えません。しかしながら、皆さんのプレイによって、彼は再び英雄であることを周囲に認めさせました。その行動自体が我々のメッセージです。
河野さんはエースコンバット7を開発している間、Project Acesの最大の功績とは何だと思いますか?
新しいメンバー、新しい体制で挑戦的な開発を行い、大きな苦労を乗り越えて成果を出したことです。「雲」の表現1つとってもそうです。『「雲」によって、天候、気流が加わり、空の環境が革新されて、ゲームプレイそのものが新しくなる。』このことに懐疑的なスタッフもいましたし、実際に社内での製品評価チームにも「NO」を突き付けられました。それでもコンセプトを信じて完成させて、実際にユーザー、ファンの皆さんから『空の革新』がもたらす新しさに支持を得たこと。それは、開発チームがキチンと半歩先のビジョンをみて開発を続けた証拠になります。ビジョナリストなしには良い開発はありません。
バーチャルリアリティーをエースコンバットに導入できたことは画期的な成果で間違いないです。完成したVRモードをテストした時、Project Acesの皆さんの気持ちや思いはどんなものでしたか?
これはエースコンバットの原点的な楽しみ、「空を自由飛んで闘うパイロットの体験」の根底を格上げさせるものだと気づきました。エンターテイメントの革新はソフト側だけで行うことではなく、ハードの革新性によって飛躍的に高まるということを実感しました。もっとVRを体験する人が増えて欲しいと我々は願っています。
VRモードの完成を見たとき、将来のエースコンバットにもっと大きな規模にVRを用いることができると思いましたか?
可能ですね。ビジネス的な課題、問題はあるにせよ。VRに特化したACE COMBATの制作のメソッド、ノウハウは溜まりました。何度もお話していますが、VR専用のACE COMBATを制作する場合は、ストーリーテリングも、演出も全て従来とは違ったものになります。それだけの大規模な作品であれば、それ相応の受け皿が必要ですね。
河野さんは前にSukhoi社の飛行機がお気に入りだと言ったことがありますが、Su-30をエースコンバット7のVRモードで飛べることができて夢が叶ったのでは?
僕の個人的な趣味で収録したわけではありません。多くのファンの夢を叶えたと思っています。違いますか?(笑)
ゲームやゲームの資料を英語や他の語言に通訳するときはどんな手順を取るのですか?
先ずは日本語で全て書き起こします。それを英語化して、そこから各国の言語に翻訳していくのですが、Project ACESの場合、英語化されたものをチーム内で言い回しや、ミリタリー用語の再チェック、再翻訳を行っています。
エースコンバット5の発売で、シリーズは初めて「ストレンジリアル」と名付けられる世界の地図を紹介しました。開発のいつ頃から別世界を生み出すと決めたのですか?もしかしてエースコンバット04が開発が行われていた2000年頃からですか?
僕がアートディレクターを務めた04で「ユリシーズ」と「クレーターのある世界」が誕生しました。僕は空から地表を見下ろすこの世界、ACE COMBATの世界には「巨大なシンボル」が必要だと考えました。それは他のフライトゲームとの差別化です。その時は「世界を生み出す」というより、「より戦闘機同士の闘いや、英雄が作りやすくなる設定を作る」だったと思います。その後、Strange Real Worldという名称で個人的に発信していました。それがファンの間で「ストレンジリアル」となって共通言語化し、世界となったのです。5での世界地図の公開は、オーシアとユークトバニアの国家間戦争を描くため必要になったのです。
河野さんは「ストレンジリアル」の中の好みな国、登場人物、オリジナル機体や出来事はありますか?
うーん、非常に難しい質問ですね。まだ語られていないSOTOAとかで何が起こっているのか知ってみたいです。(笑)僕は、本編は何度も何度もチェックを重ねるので、すべてが平等に愛おしくなってしまっています。むしろ個人的には日本の公式ページや、ACES at WARで発表されている「ストレンジリアルの世界で起こっていた本編で描かれていない出来事」が好きですね。あれらを見ると、より、ストレンジリアルの世界は実在するような気がしてきます。
オリジナル機体をゲームに含みたかったけれど、出来なかったことはありますか?もしあればその機体の名前やデザインのことを話せますか?
オリジナル機体自体は、全て何れかのタイトルに収録されているはずです。長年、実装されていなかったADA-01B”ADLER”もACE COMBAT INFINITYにて収録されましたし。今のところは存在しない気がします。
シリーズ過去のゲームや資料にはストレンジリアルの1900年代に起こった戦争や紛争が言及されています。有名な第二次世界大戦の戦闘機が登場したエースコンバットもあります。第二次世界大戦頃のプロペラ機をつかったエースコンバットゲームを開発する談話があったことはありましたか?
今も下元プロデューサーからちょくちょく提案されます。開発の中にも作りたいというスタッフはいますね。ただ、僕らProject ACESは皆さんが想像するよりも小さな開発チームです。7とシーズンパスで手一杯ですね。
Project Acesが他にも開発したゲーム、Sky Crawlers: innocent Acesは立体っぽい雲や風が飛行機を動かす機能が含まれていました。この機能はエースコンバット7の初期開発に影響をあたえましたか?
直接的な影響はないです。雲も風も、同様の現象ではありますが、「コンセプトの軸に据える」という考えと、「機能を追加する」では作り込む方向が全く異なります。軸に据えた場合は、それに準じてゲームシステム、シナリオ、演出、マルチプレイと全てに影響を及ぼします。設計図は全く違うものになるのです。これは開発的な感覚なので上手く言語化できていないかもしれませんね。
Project Acesのチームは日本自衛隊と色々かかわっていますが、自衛隊との忘れられない経験とかありますか? 航空自衛隊の飛行機に乗ったことはありますか?
残念ながら私は乗ったことがないのですが、開発スタッフの何人かは、コクピットに搭乗しています。我々の取材へのご協力にはいつも大変感謝していますが、最も印象的だったのは、松島基地や新田原基地など、ACE COMBAT 7の出展に際して、わざわざ本物のF-15やF-2を並べてくれたことです。基地の方々が一致団結して我々の作品を盛り上げてくださって、すごく感動しました。
ゲームが発売してから、河野さんのエースコンバット7のビジョンは叶ったと思いますか?
全てが叶ったとは思いません。賛成できないユーザーもいらっしゃるでしょう。しかしながら、我々は確実にシリーズを前進させました。7の空を体験した後に、過去作の空を飛んだなら、「空の感触」に物足らなさを感じるはずです。そういう、臨場感より一歩踏み込んだ、人間の感覚に訴える革新ができたことは、ビジョンが叶ったと考えています。
最後の質問です。このシリーズが進化していく中、河野さんの「旅」はどのようなものですか?
僕はそろそろミハイかと。下元Pや玉置Pなどトリガーたちが現れました。時代は変わっていきます。彼らの障害として、越えなければならない存在として立ち塞がりたいと思っています。
Project: Lighthouseはこのインタビューに参加し、PAX Southで私たちの会見者と会ってくれた河野さんに感謝を告げます。あなたとProject Acesの皆さんがエースコンバット シリーズを生み出し、それを進歩し続けてくださって本当にありがとうございます。